2021年8月10日
アライブ代々木大山町のご入居者に対して、介護スタッフが研修で学んだ認知症介護(キョウメーションケア)の取り組みをご紹介します。
事例【お風呂に入りたくない】
<ご入居者の概要>
90代前半 女性 S様 アルツハイマー型認知症
歩行器で歩く事が可能
普段は穏やかに過ごされているS様ですが、認知症の周辺症状(BPSD)があり、入浴の時間になると「風邪をひいているから」「家で入ります」と難色を示されていました。
“入浴“には清潔保持やリフレッシュ、新陳代謝を高め、良質な睡眠が得られるなどの効果も期待できます。
しかし、ご本人が望まないことを強要してしまうと、嫌な思い出になってしまうため、入浴したくなるような方法はないか、認知症高齢者研究所の羽田野先生にもアドバイスをいただき、入浴拒否の原因と適切な対応方法を見直しました。
①その方が幼少期に生活していた環境はどういったところか
②自宅での入浴時に使用していた物はあるか・用意できるか
③入浴の声かけを工夫
①に関して
人は育った環境によって生活の仕方が異なります。
東北地方などの寒い環境で過ごされていた方は洋服を脱ぐのに抵抗があり、毎日湯船につかる習慣は少ない傾向があります。九州・沖縄地方などの暖かい環境で過ごしていた方は洋服を脱ぐのに抵抗は少なく、スムーズに入浴される傾向にあります。
また、関東で育った方は自宅にお風呂がある家庭が少なかったようで大衆浴場(銭湯)で入浴していた方が多く、1人での入浴に抵抗を示す方もいます。
S様は関東で生活されていたため、大衆浴場での入浴が1番馴染みのある方法だったのではと仮定しました。
アライブではプライバシーを守り、リラックス出来るよう、複数ではなくお一人ずつの入浴を推奨しています。
そのため、②③の方法でのアプローチを実施しました。
②に関して
以前、お風呂上りに着用していた衣類があるとの事だったので、簡単に羽織れる浴衣を持参して頂きました。馴染みの物を用意する事によって今からお風呂だと連想することが期待できます。
③に関して
入浴介助は、お部屋でお声掛けすることから始まっていることを意識し、まずはお風呂への意欲を高めます。
子供のころに慣れ親しんだ銭湯の話などをして、声掛けするのがよいと教えていただきました。こちらは回想療法と言います。
以上のことをふまえて、入浴のお誘いをしたところ、毎回ではないのですが、前向きに入浴される回数は増えていきました。
入浴は年代問わず疲れている時は面倒に感じるかと思いますが、高齢になるにつれ、その面倒だと感じる思いはより一層強くなります。
私たちスタッフの日々の接し方や声掛けひとつで受け止め方も変わります。
安心してお過ごしいただけるよう、これからもその方にあった声のかけ方など、勉強してまいります。
尚、今回資料としまして、表1、表2、表3をお見せしたいと思います。
まず表1を使用し、普段から関わりのあるスタッフが、表の中にチェックをいれていきます。
一番多くチェックの入った部分が、その方が分類される認知症という事になります。S様は アルツハイマー(ADD) のところに一番多くチェックが入っているため、アルツハイマ―型認知症と判断する事ができます。
表2は、認知症の種類を分類した表になっております。認知症と言っても多くの種類がある事がご理解いただけると思います。
最後の表3は、(FAST)と呼ばれるもので、アルツハイマ―型認知症の重症度をとらえる為に作られたもので、日常生活での障がいから病状の進行を7段階で表しております。
S様はこの表の5の部分に当てはまります。
この表にて継続的にチェックを行う事で、アルツハイマ―型認知症の進行がよくわかり、小さな変化にも気づくことができるので、症状の緩和ケアに有効です。
介護スタッフはこれらの情報を見極めた上で、主治医等と連携し、お一人おひとりに合った認知症ケアを進めております。
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