2021年5月26日
2000年に第5の社会保険制度として施行された介護保険法。それまでは、老人福祉制度や老人医療制度が高齢者の生活を支えていました。要介護高齢者の増加や介護期間の長期化など、介護ニーズが増大し従来の老人福祉・医療制度に多くの問題点が現れたため、高齢者の介護を社会全体で支える仕組みとして介護保険制度が創設されました。
介護保険制度は5年ごと、介護報酬は3年ごと見直しが行われます。2021年度は介護報酬改定の年です。世界に類を見ないスピードで超高齢社会に突入した日本において介護保険事業者に求められていることを介護報酬改定の内容から見ていきたいと思います。
1.介護報酬改定の全体概要
まず全体概要ですが、大きくは以下の5つのポイントから改定が行われました。
①感染症や災害への対応力強化
感染症の発生及びまん延等に関する取組の徹底と、感染症や災害が発生した場合であっても、利用者に必要なサービスが安定的・継続的に提供される体制を構築すること
②地域包括ケアシステムの推進
住み慣れた地域において、利用者の尊厳を保持しつつ、必要なサービスが切れ目なく提供されるよう取組を推進すること
③自立支援・重度化防止の取組の推進
制度の目的に沿って、質の評価やデータ活用を行いながら、科学的に効果が裏付けられた質の高いサービスの提供を推進すること
④介護人材の確保・介護現場の革新
喫緊・重要な課題として、介護人材の確保・介護現場の革新に対応すること
⑤制度の安定性・持続可能性の確保
必要なサービスは確保しつつ、適正化・重点化を図ること
以上、5つのポイントからは新型コロナウイルスをはじめとした感染症対策の強化、そして近年多発する自然災害への対応力強化、そして、人口減少・超高齢社会における介護保険財政も踏まえた制度の持続性を高める必要性、これから本格化する介護需要に対応するため、介護人材をいかにして確保するか、そしてICTの活用等により生産性を高めていく必要性が示されています。
2.介護付きホームにおける主な改正点
次にアライブケアホームが該当する介護付きホームにおいては、介護保険全体の改定の方向性を踏まえ、主に以下の改定が行われました。
【加算の充実 ※一部のみ】
①看取り対応の充実(看取り介護加算の見直し)
看取り介護加算:お看取り期間のご入居者に、人生の最期の時までその人らしさを維持できるよう、ご入居者やご家族の意思を尊重して、医師、看護師、介護職員が連携を保ちながらお看取りをする場合に算定する加算
②入居継続支援加算の見直し
痰の吸引などの質の高いケアを提供している場合に算定する加算
③ADL維持等加算の見直し
自立支援・重度化防止の観点から、一定期間内にADL(日常生活動作)の維持又は改善の度合いが一定の水準を超えた場合を評価する加算
④科学的推進体制加算の創設
自立支援・重度化防止の効果を最大化するために「科学的に裏付けられた介護」の実現を目指して、そのためのデータを集めることを目的とした加算
⑤サービス提供体制強化加算の見直し
介護福祉士の割合が高い、または勤続年数が10年以上の介護福祉士の割合が一定以上の事業者を評価する加算
【運営基準改正 ※一部のみ】
①感染症対策の強化
感染症の発生及びまん延等に関する取組の徹底を求める観点から、委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等の取組の義務付け
※3年間の経過措置あり
②業務継続に向けた取り組み強化
感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスが継続的に提供できる体制を構築する観点から、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等の義務付け。
※3年間の経過措置あり
③災害への地域と連携した対応
訓練の実施に当たって、地域住民の参加が得られるよう連携に努めなければならない
介護付きホームにおいても、お一人おひとりに合わせたお看取り対応や、自立支援ケアや認知症ケアの推進など、質の高いケアの提供が求められます。介護職員にとって、専門知識やスキルの向上は必要不可欠になってくることを理解し、知識・スキルの向上の機会を継続的に設けていくことが必要と思われます。
3.介護保険事業者に求められていくこと
介護保険制度は今後も進展する超高齢社会に対応するための基盤、社会的インフラです。まずなにより制度の持続性を高めて、利用者が安心できるようにすること、そして業務革新を図り介護の魅力を高め、必要人材を確保していくことが不可欠です。
社会課題である「介護」を解決し、誰もが安心して老いを迎えることができる世の中の創造にむけて、アライブメディケアは「安全・安心」を掲げるセコムグループの一員として取り組んでまいります。
資料請求・お問い合わせ