2017年11月10日
美味しいと評判のお店を経営している方から以前聞いた話。
「肉じゃがとカレーは安易にメニューに載せてははいけない。
なぜなら、誰にとっても家庭の味が一番おいしく、ほっとするから。どれだけ真剣に作っても、甘い・薄い・濃い・塩辛い、・・ひとりひとりにとって何か一味足りないものになる。一番美味しいと思うのは母の味、家庭の味。だから安易に手を出せない。それにお客様が皆、その料理をよく知っているから、すぐに自分の意見が言える。それだけに店としての味の方向性がつけにくく難しいのだ。」と。
ホームはお店ではありません。ご自宅でもありません。
ご入居者の皆様が全員美味しく思う料理はありません。ホームでは毎日一食に3品のおかずが並びますので、9品のお料理と主食、汁物を召し上がっていただいています。肉じゃがやカレーの日もあります。1日の中で、「私はこれが好き」と思えるものが一品でもありますように。と考えながらメニューを組み立てていきます。
お料理はご入居者同士好き嫌いや評価がしやすく、話題になりやすいものです。思い出につながることも多くあります。「料理長、今日の煮物は美味しかった!」「これなら私が作った方が美味しいわよ」「主人はね、私が作る肉じゃがが大好きだったのよ。コツはね・・・」日々、多くのお話をいただきます。自由に遠慮せずにお話しいただけることが、私たちのホームの雰囲気をよく表しています。
毎日ご入居者から聞こえる様々な感想をスタッフが食事検討委員に伝え、厨房スタッフとともに改善を行っています。
食事は単なる栄養補給のためのものではありません。楽しくて幸せになるものであるべきです。咀嚼力や嚥下力が低下した方にも、お食事の楽しみは感じていただきたい。お食事は、匂いを感じ、目で見て食べたいと思い、手を使って口に運び、味わうことが大切です。これが季節感や満足感につながると考えています。
食事の好みは十人十色。だから、自分は美味しいと感じても、隣の人は「味が無い」と感じる。美味しい日もあれば、ちょっとね、という日もある。機械的にいつも同じ味を作るのではなく、食卓の話題になること、季節を感じること、もちろん栄養バランスが良く安心して召し上がっていただけることを大切にしています。
今年度の食事の方針は「五感を楽しませる演出と実践」。日々の食事においては「プロが作る家庭の味」を念頭に、皆様がお食事の時間に会話の花が咲くことを願いつつ、プロ集団である厨房が温かい心と厳しい目でお食事を作っています。
アライブ浜田山では食事付見学を随時受付中です。どうかお問い合わせください。そして私たちの「想い」を召し上がってください。
資料請求・お問い合わせ